俳句・短歌 短歌 自由律 2020.10.17 句集「愛のままで咲く」より三句 愛のままで咲く 【第12回】 馬場 美那子 “こぼれる愛 からめた指の すき間から” 十七音に込められた、愛と感謝の川柳句集 母へ、恋しい君へ、愛犬へ、かけがえのない日常へ。やさしく、時に激しい愛の詩。 5章からなる川柳句集を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 君去りて朦朧体の如き我 君といて心に虹が架かったの 刺激的な君の挑発受ける夏
小説 『約束のアンブレラ』 【第3回】 由野 寿和 なぜこの場所にいたのか…ずぶ濡れだった少女の靴についた泥の一部は乾きかけていた 「遺体は三十代半ばの女性。薬指には婚約指輪だ。三ヶ月前の九月三十日に失踪した久原真波(くはらまなみ)に酷似している」「にしても失踪届が親族から出されたのは三ヶ月も前です。遺体の腐敗は進んでいるのではありませんか?」「理由は三つある。あの傾斜は地面から二メートル近い場所にあった。地中深くに埋めることで微生物などの影響を軽減し腐敗が遅れた。そして低温環境だ。冬という季節に加えて、この藤山は高山地帯と…
小説 『あなたと虹を作るために[人気連載ピックアップ]』 【第3回】 福田 恭子 夫が亡くなった。夫がいる日本に早く帰りたい…。帰国準備の中で発覚した飛行機の予約ミス。血の気が引いた。日にちを間違えている… ヴェネツィアでS先生は博史の同僚で、早稲田大学国際関係担当副理事。三カ月前にヴェネツィアでの会議のためにいらっしゃって、このアパートで夕食を差し上げた。そのときには息子もいて話が弾み、楽しいひと時を過ごした。S先生なら、ヴェニス国際大学への対処をお願いできる。「後任の先生のために、このアパートが必要なら、すぐに空けるから。いつでも使ってもらえるようにするから、とお伝えして」「わかった」「……ほか…