俳句・短歌 短歌 自由律 2020.10.17 句集「曼珠沙華」より三句 句集 曼珠沙華 【第12回】 中津 篤明 「冬花火 亡び 行くもの 美しく」 儚く妖しくきらめく生と死、その刹那を自由律で詠う。 みずみずしさと退廃をあわせ持つ、自由律で生み出される188句。 86歳の著者が人生の集大成として編んだ渾身の俳句集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 中世の 兜虫 くる かいともし 人形に 情念 ありや 江戸の火事 妄想が 致死量 となる 十三月
小説 『娘からの相続および愛人と息子の相続の結末[人気連載ピックアップ]』 【第10回】 川井 れもん 娘の葬儀代は1円も払わない、と宣言する元夫。それに加え、娘が生前に一生懸命貯めた命のお金を相続させろと言ってきて... 次の日から雄二と2人で、市役所に提出する書類の整理や墓に納骨をするなど、予想以上にやらなければいけない事が多かった。そのためここ数日、私は身体に激しい痛みを感じて我慢できなくなっては休憩して、回復してから行動しての繰り返しだった。それでも、なんとかやらなければならない事をすべて終了させて、やっと直美の遺産相続の手続きをする事になった。この手続きは最初から姉に依頼しており、直美名義の口座がある銀行…
小説 『アザレアに喝采を』 【第7回】 藤咲 えこ 生理は来ないことが当たり前になって、体重は36キロになった。目だけが大きく、何を着てもぶかぶか…食べることが怖い。 帰りの電車で座席に座ると、途端に嘘をついて先に帰ってしまったことの後悔が押し寄せた。家に帰ってからも、美香か誰かが手土産に持っていったケーキや焼き菓子を家に届けに来るような気がしてならなかった。そんなことは起こるはずがないのに、一度考え始めるとその妄想は止まらなくなった。嘘をついたことを咎(とが)めに来るのではないかという妄想にも苦しめられ、逃れたはずのケーキや焼き菓子に追いかけられるような気が…