俳句・短歌 短歌 自由律 2020.10.24 句集「曼珠沙華」より三句 句集 曼珠沙華 【第13回】 中津 篤明 「冬花火 亡び 行くもの 美しく」 儚く妖しくきらめく生と死、その刹那を自由律で詠う。 みずみずしさと退廃をあわせ持つ、自由律で生み出される188句。 86歳の著者が人生の集大成として編んだ渾身の俳句集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 死因は 「リラ」 夕陽したたる すべり台 わが不在 ただ 一握の 冬の塩 姉泣かす 少年 裸足 葉月潮
小説 『アントライユ』 【第3回】 鈴木 恋奈 彼の父親と私の母が不倫。親族双方殴り合いの大事件になった。だが、彼の母親は「慰謝料は要らないから」とだけ言って姿を消し… 【前回の記事を読む】彼にピアスが増えたら、私は自分の耳にも印をつけて、ニードルを取り出す…「痛い痛い!」それでも彼とお揃いがよかった私たちは新潟県の外れにある小さな町で育った。私は、ボロボロのアパートで生まれた。母親の稼ぎが少なく、泣く泣く住んでいた。幼少期に千春がそのアパートの隣の部屋に引っ越してきたのだ。千春の母親の後ろに隠れる彼の光る涙は私の心を潤した。今でも鮮明に思い出せる。彼の目は女の…
小説 『シュバルツ・ヴァルト』 【最終回】 萬野 行子 兄の謎の事故死を解明したい。F1レーサーであった兄、車のことなどろくに知らない私が大企業に太刀打ちできるのか… 【前回の記事を読む】F1の技術が裏目に? 相次ぐ不審な自動車事故に潜む闇の正体は……麗央の事故に釈然としないものを感じていた愛莉は、取るものも取りあえずイタリアに飛んだ。空の上から地図と全く同じ海岸線をぼんやりと眺めながら、自分が何を求められているのか、何をすべきなのかをつかみかねている自分自身を思った。麗央の事故原因を解明したい。しかし、そのためにできることが自分には何かあるのか。車のことなど…