【前回記事を読む】会長に直談判するしかない…電話すると「今なら会える」と突然のアポが取れた。汚い字の箇条書きしか準備できなかったが…

3. Cerro Colorado(チリ銅山開発)プロジェクト案件

一通り終えて時間ができたので、9月に産まれた娘の出生届のため領事館を訪れたところ、“3ヶ月を過ぎているので、日本国籍を取得できず、帰化の手続きを取るしかない”と書面を返された。

驚いて、外務省の友人に頼み込み、何とか事情を斟酌してもらい処理してもらった。このことは、娘にはまだ話したことはない。

そしてSite Visitが組まれた。NYからマイアミ乗り換えでサンティアゴへ、そしてチリ北部のアントファガスタで一泊。

バスで台地の様に広がるタクラマカン砂漠へ、1 日掛かりでサイトに辿り着く。本格的に掘り始める(露天掘り用のオープンピットを切る)前なので、試堀用の柱しか見るものはなく従業員用の2段ベッドの宿舎に泊まり、翌日は開発計画の説明を実地で受けた後、近郊の他の鉱山のSxEwカソードによるバイオリーチングの精錬所を見学した。

微生物の力を借り、電極板に純度の高い銅が付着する様(さま)は、錬金術を見せられているかの様な感がした。

美しい赤銅のカソード板を取り入れた図柄で、この案件のTombstone(案件の成約を記念して作られる関係者名を記した記念盾) を作ることを決めたのはここでの印象に依るところが大きい。

サンティアゴに戻り、地元のワインと魚介でディナーを堪能し、再びマイアミ経由の長いフライトで NY に戻った。

隣に座ったクリスから、CITIの内情を愚痴の様に聞かされ続け、折角の美味しい一連の機内食も十分味わえなかったが、その後10年も経たないうちに、まさか、自分の銀行も同様の境遇に陥るとは、この時には想像すべくもなかった。