議場後方の入口から煤まみれのワンピース姿の賽子が現れ、議席の間の通路を議長席に向かってずんずんと歩いて行った。その眼は怒りに爛々と燃えていた。
「西須君と八重沢君、2人掛かりでもあなたを倒せないことは初めから分かっていましたよ」
青竜がそう言い終わった時、気づかない間に賽子は彼の目と鼻の先に立っていた。
「この至近距離ではバリアは通用しない」
そう言って、賽子は思い切り青竜の顔面を殴りつけた。彼はもんどりうって椅子から転げ落ちた。
「きさま!」
しかし二の句を継がせず、賽子は彼の顔面を右に左に滅多打ちにした。
「おまえなんかより悠雅の方がずっと強かったぞ!」
そのうちに青竜の顔面はたんこぶだらけで二目と見られない顔になった。
「きさま……きさまあっ!」
青竜が叫ぶと強烈な衝撃波が発生し、賽子は後方に吹き飛ばされた。
議場も木っ端微塵となり、壁に大きな穴が開いて外の景色が丸見えになった。
賽子は前庭の地面に叩きつけられた。議場の中で青竜はよろよろとようやく立ち上がった。
四谷怪談のお岩さんのように腫れあがった瞼の下から涙が流れ落ちるのを見て、這いつくばっていた山口はぎょっとした。
次回更新は8月30日(日)、21時の予定です。
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