でも、たいていの家庭がそうなるように、エサやりは母の役割になった。朝食や夕食の残りものということが多かったけれど(1日2食)、ときどき乾物が乗っていたり、シラスが混ぜてあったり、牛乳が添えられていたりと、母なりにメニューを考えていたのかもしれない。
外飼いだったけれど、庭が広かったので、そこで遊んでいることが多かった。走っていって、円形に刈り込んだ植木をピョーンと飛び越えるという運動をしているのをときどき見かけた。それを真似て、僕も同じように植木をジャンプしたこともあった。
庭で遊んでさえいれば安全なものを、目の上を腫らしたり、体中泥まみれだったりすることがあって、それなりの危険にさらされることもあったようだ。幸いなことに、一生の間に大きな怪我はなかった。
父が獣医だったので、動物の天命というものを熟知していたのかもしれない。両親は必要以上に可愛がることもなく、よほど調子が悪いとき以外はたいした治療もしなかった。抗生剤か栄養剤くらいを打ってごまかしていたようだが、その都度1~2日くらい寝ていれば、また元気に走り回っていた。
僕にとっての想い出は、高校受験や大学受験の前に、猫の相手をしながら勉強をしていたということである。学校から帰って一旦寝て、夜中に起き出した時期もあった。深夜の静かな時間でも、猫がいれば寂しくない。少しやってはかまって、少しやっては撫でてを繰り返していたような気がする。夜行性だから、それなりに応じてくれたと思うのだが、寝ているときはだいぶ迷惑そうな顔をしていたのを覚えている。
試し読み連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。
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