つまり、氏族Aの女と男は、それぞれ氏族Bの男と女と結婚し、氏族Aの女が生んだ子は、男女とも氏族Aに属し、氏族Bの女が生んだ子は、男女とも氏族Bに属する。
こうした母系制的婚姻・家族関係における、本人、義父、祖父の互いの関係は、図示した如きものとなる。
この図から直ちに知られる如く、本人の、義父(たち)と祖父(たち)はいずれも、本人と同じ母系氏族に属し、それぞれ本人より上の世代、つまり、母の世代、祖母の世代に属する男たちである。
これはまた、本人が通婚する女たちの、その母たちに通婚した男(義父)たち、本人が通婚する女たちの母の母(母方祖母)たちに通婚した男(祖父)たちでもある。
義父(たち)と祖父(たち)は、本人の属する氏族の、本人より上の世代の男たちという、共通の範疇に入る。これら本人の上の世代の、本人と同族の男たちが、ともに同語で表されたとしても、むしろ自然のことである。
そのことのせいで、本人が本人の叔母たちと結婚する習慣があったなどというばかげた結論など、出てはこない。
日本の古語では、母や、母の母つまり母方祖母、さらにその上の祖母たちは、いずれも、オヤ(祖)、あるいはミオヤ(御祖)という、共通の語で呼ばれた時代があった。
このオヤたちに通婚する男たちが、共通の呼称で呼ばれたとしても、それは却って大いにありうることである。ダコタ語族において、義父と祖父に同じ語が用いられているという事実は、ダコタ語族が、ほとんどのアメリカインディアンがそうであったように、かつて、母系制氏族制度の下にあったということを如実に傍証しているのであって、クローバーが曖昧模糊たる考察によって考えた如き、かつての「ばかげた状態」を示すものでは、決してないのである。
モルガンやエンゲルスの説を鵜呑みにしてはいけないと言いつつ、クローバーらの説を鵜呑みにしている学者が多いのは、奇妙な光景である。
試し読み連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。
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