俺は

『妹? あの写真立ての少女の事か?』

そう考えた俺は神木に続きを促した。神木は話し始めた。

「僕と妹は、幼くして両親と死に別れました。すぐに施設に入れられましたが、妹は施設に全然なじめないのかいつも泣いていました。

半年ほど前に妹が

『お兄ちゃん……もう逃げたい』

そう言ってきました。理由を聞いてみると入所当時から職員に体を触られたりしていたと言いました。

僕の知らないところで、妹は職員から色々されてきたと分かりました。そして、とうとう下着の中に手を入れてきたと言いました。

このままでは取り返しがつかないことになる。そう考えた僕はその日、妹とともに施設を逃げ出しました。

どこをどう逃げたのか分かりませんでした。歩き疲れて公園のベンチで妹と座っていると知らない男が話しかけてきました。男は名刺を差し出しこう言いました。

『アイドルになってみないか?』

名刺には〈桜手芸能事務所 代表取締役社長 大川高志〉とありました。男はその後

『君にその気があるなら今日から住むところを紹介できるよ。どうかな?』

妹は男の顔を見て

『お兄ちゃん……この人怪しい……やめとこう』

そう言いました。でも、僕たちは行くところもなかったし妹のことを考えた時、断ることはできませんでした。

次回更新は8月17日(月)、16時30分の予定です。

 

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