# 17 #

神木奏馬のアパートは駅からやや離れたところにあった。近くに愛車と移送用のパトカーを停め、俺と片倉、そして2名の警官は目的のアパートを訪ねた。

〈101〉と表示された部屋の前に行きインターホンを押した。反応は無く、俺はドアノブに手をかけるとドアが開いていることに気づいた。

ドアを開けて慎重に室内を見回すと、一人の男の存在を確認した。男はあぐらをかいており、こちらに背中を向けていた。

俺は男に向かって尋ねた。

「神木奏馬だな?」

男は振り返り答えた。

「そうです……警察ですか?」

俺は、その男……神木奏馬の顔を見て気づいた。神木は目の周りに隈があり、泣きはらしていたことが分かった。

俺は神木に

「あがるぞ」

と言い、部屋に上がろうとすると、神木は咄嗟に

「いえ……僕がそちらに行きます」

そう答えた。神木が立ち上がり覚束ない足取りでこちらに歩いてきた。

俺は部屋の真ん中に置いてあるテーブルに写真立てがあるのを見た。写真には一人の少女が写っていた。テーブルの近くにスポーツバッグが置いてあった。神木奏馬は俺達の前まで来て立ち止まった。

俺は改めて神木に告げた。

「神木奏馬……殺人容疑で逮捕する。これが逮捕令状だ」

隣の片倉が令状を神木に示した。

神木奏馬を城東警察署に移送した後、すぐに取り調べを行うことにした。神木は逮捕時も移送されている時も抵抗する事はなかった。移送時はずっと俯いていた。取り調べに際し俺は神木の身体検査をし、椅子に座らせた。俺が対面の椅子に座り、片倉が記録席に座った。

俺は神木に向かって事件の一部始終を話し、神木に尋ねた。

「神木奏馬……まずは何故アイドルになったのか? 何故桜手芸能事務所に所属したのか聞かせてくれるか?」

神木は力なく話し出した。

「その前に僕たちのことを……妹とのことを聞いてもらえますか?」