学部入学者選抜の難しさ
中央教育審議会が2008年12月24日に出した「学士課程教育の構築に向けて(答申)」によると、少子化と大学の入学者定員の拡大が進行することに伴い、大学の志願者のほとんどが入学できる状態(いわゆる「大学全入」)になっており、これに伴う高校生の学習意欲の低下、大学生の質の低下が懸念されている。
こういった中で、国は地方における医師不足、医師偏在などの問題の解決策として医科大学、医学部の新設、地域枠の設置などにより医師数の増加を図ろうとしている。
一方、大学の教育現場では、最近の医学生の主体性の欠如、論理的思考能力欠如、日本語の基礎学力の低さが懸念されている。
こういった矛盾した社会環境の中で、医療を実践するのに必要な知識や技術が日々増加し、高度化している。
大学入学者にはそれらを生涯にわたって継続的に学習し、習得するために必要な基礎学力と知的能力を有することが必要不可欠であるが、そういった能力を有する学生を選抜することは困難である。
また、同時に、地域・社会・国民から期待される良医を育成するという観点から、望ましい医師としての資質、具体的には医学・医療を通じて社会に貢献するという明確な目的意識や情熱、能動的な学習態度、コミュニケーション能力に富み、他者を尊重し、他者の立場で考え、協調して行動できる態度、調和のとれた豊かな人間性と偏らない判断力、時代の変化への適応力、他者と共感できる人間性といった視点を重視して入学者を選抜することが求められる。
これらの必要条件を満足させる学生を選ぶということは、さらに大変なことである。