さらに、時間も空間も足りない都市部の環境で犬を育てるなら、その工夫を提案するのもトレーニングです。繰り返しますが、トレーニングは犬を変えることではなく変えられるのは関係性だけであること、そしてドッグスクールとは、犬が学ぶ場ではなく飼い主が犬を学ぶ場です。
そして犬のトレーニングを学ぶということは、人と犬をつないできた歴史を学ぶということです。
動作よりも表情の豊かさが社会性の発達に影響
犬と対話するツールが近い未来に開発されるかもしれませんが、道具を使わずに犬と対話できるようになるほうが神秘的で、犬に近づいた気持ちになります。
犬のコミュニケーションの発達は犬の社会性の発達に直結していて、犬の社会性の発達は豊かな社会生活を作り、それは犬の福祉にも影響します。だからこそ、飼い主は犬と分かり合いたいと努力をするのでしょう。しかしその頑張りは、本当に犬の幸せにつながっているのでしょうか。
例えば、犬のコミュニケーションの発達を、何で判断しているでしょうか。犬に言葉を教えるつもりで、オスワリ、オテ、オカワリなどを教えてはいないでしょうか。オスワリなどの号令は犬の社会生活に欠かせないものですが、号令に行動することは犬本来のコミュニケーションとは違います。
また、犬がとびついたり鼻をならしたり吠えたりすることを、犬の喜ぶ表現だと勘違いしていないでしょうか。犬の過度な要求行動はストレス性行動や攻撃性行動で、むしろ言葉が通じない社会的欲求不満の表れです。
犬の本来のコミュニケーションの発達とは、これらの大きな動作よりも、むしろ細かな表情やシグナルの発達にあります。私たち人間にはほとんどわからない程度の尻尾の動きであることもあるし、背中の毛の動きのこともありますが、中でもよく動くのが顔の表情です。
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