【前回の記事を読む】人口減少の影響が懸念される自動車整備業界…整備士不足により、従来の「車検」システムが変更される可能性も……

第一章 なぜ、今、整備士採用が重要なのか?

平均年齢47歳超えの現実 加速する整備士の高齢化

一方で、自動車市場の動向を見てみると、新車の販売台数は伸び悩んでいるものの、一般社団法人自動車検査登録情報協会のデータによると、自動車の保有台数は微増傾向にあります。

また、一般社団法人日本自動車工業会のデータを見ると、自動車の平均使用年数は年々伸長しており、一台の車がより長く使用されるようになっています。これは、それに伴い、整備・メンテナンスの需要は依然として高い水準を維持、あるいは増加していくことを示唆しています。

高齢化が進み、整備士の数が減少していく一方で、整備の需要は依然として高い。

このアンバランスは、結果として整備士ひとりあたりの作業台数が今後ますます増えていくことになり、今後ますます深刻な整備士不足を招き、業界全体の機能に支障をきたす可能性を孕んでいます。

この状況を打開するためには、整備士のなり手を増やすための魅力的な労働環境の整備、そして、既存の整備士が長く安心して働けるような定着率向上への取り組みが急務と言えるでしょう。

整備業界に迫る「整備版パンデミック」の足音

国土交通省の調査によると、自動車分解整備事業場の総数は、平成26年度の約9万6000場を頂点に7年連続で減少し、令和3年度には約9万1454場まで落ち込みました。その後は3年連続で増加に転じているものの、手放しで喜べる状況には到底なく、むしろ業界が抱える構造的な問題を浮き彫りにしています。

特に深刻なのが、民間車検場として国の指定を受ける「指定工場」の状況です。令和5年度に3万90事業場だった指定工場は、令和6年度には2万9932事業場へと、前年比で0・5%減少しました。この減少幅は過去最大でした。一方で、「認証工場」の数は近年増加傾向にあります。

しかし、この増加は、自動ブレーキなどに搭載される電子制御装置の整備に必要となる「電子制御装置整備認証」の取得が主な要因です。その多くは、これまで分解整備を主としてこなかったガラス修理業者などが、新たな規制に対応するために認証を取得したケースと見られています。これは、必ずしも従来の整備事業者が増加していることを意味するものではないと考えます。

事業場の減少や廃業の根本的な要因も、より深刻化しています。従来からの課題であった経営者の高齢化と後継者不足に加え、近年では認証工場の廃業理由として、深刻な「人材不足」や、経営体力の向上を目的とした「事業縮小」が明確に挙げられています。