第二妃倭の兄に誘われ、宮に入る。

正面から左手に入ると、海が一望できる一角、その中央に大きな台座が置かれていた。

其処には倭国から朝鮮半島、そして大陸沿岸の地形が土で形どられた大地図があった。

おおおっ、すごいものを見てしまった。何かもう後戻りできない。

何なんだ。私はどうしたらよいのか。

金村の動揺は、他の者たちにも伝わっていた。

「実は、この部屋には私も初めて入りました」と、和珥氏と茨田連。

「では、改めて今回遠征の行き先を」

越国旗印日の丸が付いている棒で任那・伽耶を指し示す、三尾角折氏。

「新羅が内陸から、我ら越と磐井は海からの攻撃よ」

百済が苦境に立っているのは知っていたが、大和には百済を祖とする豪族たちが、特に蘇我一族がいた。

金村には余り詳しい情報は入ってなかったようである。

「そもそも、何故手白香姫を連れてきたのだ、そこから話をして頂きたい」

「方々、分かりました。私の胸の内をお聞きください」

三人の王女たちの身の安全を大王に託した以上、これ以上の責任逃れはできないと腹をくくった金村。

丁度二年前、弟武烈王が暗殺されたこと、というか普段から素行が悪く、同母の二歳上でもある手白香妃が、出産時に亡くなった母の代わりに面倒をみてきたこと、

武烈王よりも姉姫の方が王の気質があること、大和では遺された姫たちを利用する数多の輩がいて姫には相談できる近しい身寄りがないこと、

それどころか自分の御身の安全をも確保できなくなっている現状、自分や物部氏には大和豪族を束ねる力がないことを白状した。

 

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