「私は社長との話の後、他のマネージャーにもそれとなく聞いて回りました。どのマネージャーも桜手芸能事務所とヤクザの繋がりを知っていました。私は事務所に約1年勤めていましたが、知らなかったのは私だけでした。
『自分の給料は所属している子達が体で稼いだものだった』そう気づいて社長に『私も事務所を辞めたい』と話しました。すると社長は『簡単に辞められると思っているのか? うちの事務所の内情を知る人間を辞めさせるわけにはいかない!』そう言ってきました。
私の心を恐怖が支配していきました。私の心を見抜いたのか社長はある提案をしてきました。『ライブハウスを経営してみないか?』というものでした。
初めは理解ができませんでした。そして社長は話し始めました。『うちは基本的に芸能事務所だ。所属している奴に芸能活動してもらうことで稼がにゃならん。そのためには歌手としての経験とファンを獲得する場が必要だ。そこでお前にライブハウスを経営してもらい、うちに所属している奴らをそこでライブさせるわけだ。金なら事務所が出す。
お前は一円も出す必要はない。お前はライブハウスの経営者として、うちの人間を優先的に活動させてくれればいい。お前としても俺や事務所と距離がとれるし悪い話じゃないだろう? ……もし断ればどうなるか……分かるよな?』
そう言ってきました」
俺は桜手芸能事務所の悪辣さに嫌悪感を抱いていた。清水智哉は全身から汗を流して小刻みに震えている。
(この辺りで限界か?)
俺は本日の聴取を切り上げるか迷った。聴取記録を取っている片倉は俺を見ていた。だがここで清水智哉を帰しては解決への道が途絶える。そう考え聴取を続けることにした。片倉は視線を戻し記録を続ける。俺は清水智哉に続きを促す。
次回更新は7月27日(月)、16時30分の予定です。
【イチオシ記事】「何も気づかなくてすみません…」彼はそう言って、彼女の唇を何度もついばんだ。だが胸が高鳴ったのは、キスのせいだけではなく……
【注目記事】2年間続いた不倫関係…飲みの席で発覚したのは、“自分はセフレでしかなかった”という事実。相手の男は他にも2人の女性と関係を持っていて…
ゴールドライフオンラインは、表現者を応援するウェブメディアです。
生身の人間が紡ぐリアルな言葉だからこそ、読者の心を揺さぶる力があると確信しています。
あなたも、"表現者"になってみませんか?
ゴールドライフオンライン編集部:glo_henshu@gentosha.co.jp