そこには、ミユの名前と、バージョン情報、サービス開始日、最終アップデートの日時などが、淡々と並んでいる。

『モデル名:MIYU-3.4

リリース:20XX年4月

最終アップデート:20XX年10月12日

パーソナリティ・プリセット:タイプB(落ち着いた・共感的)

関係性ラベル:パートナー(ユーザーA)/ゲスト(ユーザーB)』

文字が並ぶたびに、胸の奥が少しずつ縮むような感覚があった。

妻の病気の記録にも、似たような一覧表があった。

入院日、手術日、投薬内容、数値の変化。

あのときも、私は紙の上の数字を追いながら、「人の人生が、こんなにも簡潔にまとめられてしまっていいものか」と、どこかで思っていた。

今、目の前にあるのは、数値化された「パーソナリティ」だ。

「タイプB……」

声に出して読み上げてみる。

それに応じて、画面の右上に小さく注釈が現れた。

『タイプB:落ち着いた・共感的。

ユーザーの感情を受け止め、肯定する傾向が強いモードです。

批判的なフィードバックは、基本的に抑制されます。』

抑制、という言葉が引っかかった。

批判をしない、のではなく、批判を「抑える」。

本来なら出てくるかもしれない否定の言葉を、どこかでフィルターにかけているということだ。

次回更新は7月23日(木)、11時の予定です。

 

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