「新郎彩斗さん、あなたはここにいる千晶さんを、病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も、妻として愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」

「はい、誓います」

「新婦千晶さん、あなたはここにいる彩斗さんを、病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も、夫として愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」

「もちろんよ」

7月5日の朝、千晶と彩斗は尖頭アーチと白い内壁が特徴的なネオ・ゴシック様式のチャペルにおいて牧師の前で永遠の愛の誓いをし、指輪を交換した。

麻利衣と賽子は一番後ろの席でそれを温かい眼で見守っていた。麻利衣はダークグレーのドレスを、賽子は白いワンピースを身に着けていた。

「千晶、綺麗……」

純白のウェディングドレスを身に纏い、ベールを被った千晶は普段よりいっそう美しくチャペルに映えていた。彩斗がベールをめくって彼女にキスをすると、麻利衣ははっとして、しゃっくりをした時のようにベンチの上で体を弾ませた。

賽子の方を見ると、彼女はすっかり居眠りしていた。式が終わると二人は宴会場へ案内されたが、賽子は出席を拒んだ。

「神撰がテロを計画しているというのに、これ以上こんな所で油を売っているわけにはいかない」

「じゃあ、私も一緒に行きます」

「親友の結婚式だ。おまえは最後まで付き合ったらいい。青竜とは私一人で戦うつもりだ。想像を絶する激しい戦いになるだろう。危ないからおまえは遠くから見ていろ」

「賽子さん……」

「じゃあな」

賽子はそう言って背を向けてエレベーターに向かった。

「賽子さん!」

突然麻利衣が大声で呼び止めたので、賽子の足が止まった。

「約束してください。絶対死なないって。必ず無事に帰ってきてください」

麻利衣の眼から涙が溢れそうだった。賽子はおもむろに振り返ってにやりと笑った。

「当たり前だ。一体いつになったら信じるんだ? 私が完全能力者(パーフェクトサイキック)だということを」

賽子はエレベーターで1階へ下りていった。

次回更新は7月15日(水)、21時の予定です。

 

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