猫の目が紫色からオレンジ色へと変わり、しっぽを見えないほど早く振っています。
その瞬間、淑子は急にめまいのような感覚に襲われました。
丈太郎がふわりと空中に飛び出したので、急いで淑子は丈太郎の手を掴みました。姫子も慌てて丈太郎の反対側の手を掴みました。眼下の景色がぐるぐると回り、足元がふわふわして泳ぐように空中を浮遊しているのでした。丈太郎の左右に淑子と姫子がいて飛んでいましたが、2匹の子猫がまるで先導するように、一瞬早く飛び出したことに気がついた人はいませんでした。
「ウンギャー、ギャーキー」
2匹の猫は恐ろしい鳴き声を立てて、空中に投げ出された3人を引っ張って支えているように見えました。淑子の振袖は裾が少し開いたものの着崩れることはなく、姫子の白鳥の振袖もそのままで、丈太郎は半そで半ズボンで気持ち良さそうに風を受けて大空に舞い上がりました。
3人は2匹の子猫が空を飛ばせているなど知る由もありませんでした。どのぐらい飛んだのでしょう。風のままに空を飛んでいくと目の前に平らな山頂を持つ山がありました。降り立った3人は周りを見渡しました。
第3話 女神山の山頂は不思議なことだらけ
女神山の山頂は不思議なことだらけ「ここはどこかしら、頂上が平らで広いわね」淑子はつぶやきました。
女神山の標識がありました。標高599.4mという標識が立っていて、近くには小手姫神社の案内もあり、祠がありました。周囲の山々がよく見えました。大きな岩をくり貫いたような正方形に彫った跡がありましたが、隣にその跡とほぼ同じ大きさの祠が祀られていて、正方形の祠は岩から抜け出たようでした。
3人が小手姫神社の祠の奥にある平らな場所に出ると、まるで重いものでも置いたように地面が窪んだ場所が2か所ずつ連続していました。その窪みの底は周りの草と同じで若草色でしたが、重いものにつぶされたようになっていました。不思議なものでも発見したように姫子は好奇心のままにそばにいくと、頭が何かにぶつかりました。
「痛(い)ってえー。何もないのに何かにぶつかった~」
姫子は一歩下がって窪みの底を見つめていると、声が聞こえます。
「こんにちは」