「そのようなことはありません。ただ、時々仕事を手伝ってくれるものですから。その彼女が学校で友達から、黒い指は死の病だと言われたというのです。私には何が何だか分からなかったものですから、編集長のお力を借りようと思って」

「私なりに家庭医学事典で調べてみたのだが、単なる指の打撲というほかに、メラノーマという病気の可能性もあるとあった。メラノーマとは皮膚がんの一種だそうだ。しかも、かなり質の悪いがんで、手遅れになると致死率は非常に高いと書いてあったよ。

ただ、症例としてはそれほど多くはないそうだ。多分、いつもの君の思い過ごしだと思うよ。若い女の子だったら、打撲の一つや二つは日常茶飯事ではないのかい」 

編集長のある部分楽観的とも言える言葉に私は少しばかり安心したものの、一方でメラノーマという言葉と、それが意味するものの恐ろしさを知ったのもこの時であった。

「あ、それから医療費の件、フレミング神父に聞いたよ。保険がなければ、診察だけで250ドル。処方箋が出ればさらに100ドル前後というのがそのあたりの一般的な相場だそうだ。それに別途薬代がかかるだろうとも言っていたよ」 

私は礼を言って電話を切った。

この時の私にとって、250ドルは大金であったが、それでも私はナタリーをクリニックに連れて行く許しを得るために、イザベラに会おうと思った。その日の撮影を終え、夕食を済ませると私は意を決し、外に出た。彼女がすでに帰宅していることは、 1時間ほど前に彼女の車のヘッドライトが見えたことで分かっていた。

 

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