【前回の記事を読む】俺は彼女の母親と3歳しか違わない…「俺は父親代わり」そう自分に言い聞かせた。だが突然、彼女が胸に飛び込んできて…

それを聞いてどうなるものでもなかったが、私は殆ど反射的にそう尋ねた。

「気が付いたの1か月ほど前よ」

「どこかで指を挟んだとか、強く打ったという記憶はないの?」

私は身振り手振りを交えながらそう尋ねたが、ナタリーは肩をすくませるばかりであった。

「ともかく今日はこれで帰ろう。撮影は中止だ」

元来心配性の私は、もはや冷静に写真を撮る集中力を失っていた。

「ここから一番近い病院はどこ?」

「タカオは知らないの? 病院なんて簡単に行けるところではないわ」

「それはどういう意味?」

「とんでもなく高いお金を取られるのよ。もし手術にでもなったら一家は間違いなく破産するってママはいつも言っているわ」

「そんなに医療費が高い?」

「私にはよく分からない。だって病院になんか行ったことがないんだもの。それに……」