【前回の記事を読む】製薬会社の研究員を乗せた飛行機が、房総半島沖で爆破された。その乗客には両親も——私は、13歳でたった一人取り残された。

(二)

一九六七年、青森実業高校では卒業記念としてタイムカプセルが校庭の片隅に埋められたが、五十年以上経過した二〇一八年に掘り出された。タイムカプセルが掘り出された直後には、中に入っていた品々が卒業生に渡されて何の問題もなかったが、一年ほど経って、当時殺人事件があったのではないかという噂が街中に氾濫した。

タイムカプセルの中には、同姓同名の手紙が二通あった。そこで、学校では一通を卒業生に渡し、もう一通を保管していた。しかし、一年経っても該当者がいなかったので開封してみた。すると、将来の夢とは程遠い殺害に関しての告白文だった。

当初、青森中央警察署では静観していた。しかし、噂の中に警察官が関係していたというものもあったので、放置しておくことができなくなった。

二か月後、調査結果が発表された。確かに殺人事件をにおわせる手紙の存在はあったものの、筆跡鑑定をした結果、差出人本人が書いたものではないということが判明した。本人が書いた手紙は別にあり、誰かが本人の名前を偽装した可能性が高かった。

青森中央警察署では名合わせなどの調査もしたが、参加しなかった者や複数提出した者がいたために手紙を書いた者を特定することはできなかった。また、殺人があったとしても、その年の卒業生や在校生の中に事件や事故によって亡くなった者はいなかったし、行方不明者もいなかった。

「このような事案は捜査すべきだと思いますが」一通り説明した後で、浜道が聞いた。

「タイムカプセルに手紙を入れた人は、何か重大な事実を知っている可能性が高い。でも、当時何故声を上げなかったんだろう」

「大利家戸さんは、捜査すべきだと言うんですね」

「僕はタイムカプセルに入れるものは、夢とか思い出だとばかり考えていたから」

「秘密だってありますよ。好きだとか、嫌いだとか」

「これは秘密の類だろうけれど、書いた本人が嘘を言っているとは考えにくい。それに、もし本当なら、事は重大すぎる」

思案顔の清一が浜道に話しかけるというのではなく、部屋に飾られている花に話しているかのようだった。

「こんな場合の捜査の方法は?」

「当時の卒業生や在校生を丁寧に調べるしかない。それと、当時の教職員をはじめ関係者の話を聞いて回ること」

清一が、ごく普通のことを述べた。