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1 落ちこぼれ全開―不遇の学生時代―

最弱バレーボール部、手繰り寄せた初勝利

ただ、チームは最弱だった。抽選で対戦が決まると、他校の選手たちが喜ぶほど。勝敗は、試合前から見えていた。接戦には持ち込めても、あと一歩が届かない。最後の1点がどうしても奪えない。相手の高さに跳ね返され、強烈なアタックに面白いように崩されていく。こちらの攻撃はチグハグで、場当たり的。ミスが重なり、結局は同じパターンで敗れていった。

気がつけば、二つ上の代から受け継いだ連敗記録が更新され続けていた。負けが続く中で、先輩たちの間には次第に諦めの空気が漂い始めた。悔しさをバネにするでもなく、不貞腐れたように練習を休む姿が目立つようになっていった。

「こんなに負けて、悔しくないんですか? 遠征試合に行って、もっと強くなりましょうよ」

僕らは思い切って声を上げた。仲間たちと一緒に、変わりたい一心で1学年上のキャプテン・堀田に提案した。しかし返ってきたのは、予想とはまるで逆の言葉だった。

「別に強くならなくたっていい。俺たちが楽しければ、それでいいんだよ」

言葉では説明のつかない空気が漂った。逆に、心の闇を埋めるべく、日常的ないじめが始まった。何かが解決する訳ではないが、弱い者がさらに弱い者を叩く自然のサイクルか。

ある日を境に、堀田らは徒党を組んで下級生の教室に現れるようになった。標的は決まっていた。自分たちへ意見した後輩たちだ。逃げ場のない空間で、順番にバケツを頭にかぶせられ、視界を奪われる。辺りは笑い声に包まれていたが、それは温もりのある笑いではなかった。

「俺たちより下手なくせに、先輩に生意気な口きいてんじゃねえよ」そんな言葉とともに、太鼓のように乱れ打ちにした。恐怖と屈辱が、教室の隅々に染み渡っていった。殷々(いんいん)とした轟きとともに憧れはいつしか完全に消えていった。

堀田らが部活を去り、新学期を迎えた4月、男子バレーボール部に新しい顧問、20代の熱血教師・山田がやってきた。

「心配するな。俺が顧問になったからには絶対に勝たせてやる」

就任1発目の迫力のある声で空気が一変した。時に見せる冷たい言葉や容赦無く浴びせられる平手打ちもあったが、山田の熱意に応えて強くなろうと部員全員がそれまで以上に厳しい練習に全力でついていった。

だが、山田の情熱は、驚くほどあっけなく冷めていった。

地区大会では期待されていた成果が出ず、同じパターンでの連敗が続いた。敗戦を重ねるごとに、チームには再び、あの諦めにも似た空気が忍び寄った。山田の足は次第に遠のき、気づけば指導の声を聞く日も稀になっていた。

そしてある日、ついにこう言い放って去っていった。