【前回の記事を読む】元カノの母親から突然の電話。やっと元カノに会わせてもらえると思ったら「条件があります。想像以上に残酷かもしれません。」と…
第七章
由紀子さんに促されるまま、僕はリビングに足を踏み入れた。そこには以前と同様、遥香の祖母が、四角いテーブルを取り囲む椅子に座っていた。
「いらっしゃい。さあ、座ってちょうだい」
「ありがとうございます」
遥香の祖母は、彼女の対面にある椅子を指差した。由紀子さんも同じように僕の対面に座る。そうして、僕と由紀子さんが正面に向かい合う形で、遥香の祖母が由紀子さんの隣に腰掛ける構図となった。
「改めて、今日はお話しする機会を用意してくださり、ありがとうございます」
遥香の祖母は優しく微笑んで会釈をしたが、由紀子さんはそうではない。身体は正面を向きながらも、相変わらず僕と目を合わせようとはしない。
「本当に遥香に会いたいのね? それは変わらない?」
「もちろんです。遥香さんに会って、話して、謝りたいんです」
「遥香はあなたに会いたいとは言っていません。会ってもいいとも言っていません」
「……え? そう……ですか」
由紀子さんは淡々と告げるも、それは驚くべきことだった。
僕は遥香が会いたい、会ってもいいと言ってくれるなら、連絡が欲しいと懇願した。それなのに、遥香の同意を得ないままに僕はこの場に呼ばれたのだ。
それでは僕はなんのために来たのだろうか。遥香とは話せず、由紀子さんにまた罵倒されるのだろうか。それとも、由紀子さんか遥香の祖母きっての願いで僕を呼びつけたのだろうか。
「遥香さんとは、今日はお話しできないということでしょうか?」
「もし、そうだと言ったら、あなたはどうするんですか?」