【前回の記事を読む】3年前に妊娠させてしまった元カノの家を訪ねた。「遥香さんは、僕に会いたくないんでしょうか…」と聞いた僕に、彼女の母親は……
第七章
それから一日、二日となんの音沙汰もないまま、僕は一人で落ち着かない日々を過ごしていた。たまに吐きそうになりながら。三日、四日と過ぎた頃には、落ち着かないまでも吐き気は収まった。一週間が経過した頃、せっかく明里さんが励ましてくれたのに、やはり自分の行動はあれが限界だったのだろうかと、答えの出ない思考の旅に出かけた。
二週間が経過した頃、沈みそうになる心に何度も言い聞かせ、一縷の光を求めて来る未来に思いを馳せた。三週間が経過する頃、僕の心はほとんど絶望に支配されていた。このまま呼ばれることもないまま、忘れられていくのだろうと。由紀子さんが願った僕のいない世界に、緑川家の住人は引っ越したのだろう。
アルバイトのシフトを変わってくれないかと、店長から半ば強制的に決められた命令の電話を終え、息をついたとき、またもスマートフォンが鳴り出す。耳に当てると女性の甲高い声が耳に響く。
「現在、野上様は就職活動中かと思いますが、大規模な企業相談会を開催する予定でして―」
とりあえず登録した人材会社からの電話に辟易する。今そんなことを考えている余裕はない。
適当に会話を済ませ、電話を切ると、間髪入れずにまたもスマートフォンが鳴った。またか。うんざりしながらも、スマートフォンを耳に当てる。
「もしもし」
「緑川ですけど」
「はい……はい?」
突如として耳に入ってきた声は、ずっと求めていた由紀子さんからの電話だった。思わず声が裏返る。