【前回の記事を読む】周囲から見ると「落ち着きがない」ように見えるあの子は、もしかしたらADHDかも。しかし多動性は"わがまま"や"しつけ不足"の……

第1章 発達の多様性を知る:特性の理解

【コラム】すべては関係の中で動いている

興味深いことに、このような〝関係性〟を重視する見方は、現代科学の一部とも響き合います。

量子力学の世界では、物質の状態は観察者や他の粒子との関係性によって決まるとされます。

電子は、観測されるまで波でも粒でもなく、複数の可能性を含んだ存在です。つまり、世界は単独で成り立っているのではなく、つねに他との関係の中で動いているのです。

実際、私たちが見ている現実とは、「〝もの〟がある」のではなく、「関係によって生じる〝こと〟」にすぎません。それは、無数の関係の網の目の中で一時的に立ち上がった現象であり、絶えず変化し続けているのです。

子どもの発達も同じです。その子の特性だけでなく、親や教師の関わり方、環境の変化、社会のまなざしなどが影響し合って、現在の姿が形づくられています。そして、その関係が変われば、子どもも変わります。だからこそ、私たちは「変わらない特性」を見るのではなく、「変わりうる関係」に目を向ける必要があるのです。

関係の中で、子どもは少しずつ育っていきます。そして、私たち大人もまた、関わることで変わっていけるのだと思います。