【前回の記事を読む】発達障害でも文化や環境が変われば「困りごと」ではなくなる!? 特性がどう評価されて受け止められるかが重要。例えば…
第1章 発達の多様性を知る:特性の理解
ASDの特性:こだわりの強さと興味の特性
ASDの子どもたちには、特定の物事や活動に対する並々ならぬこだわりや、狭く深い興味が見られることが少なくありません。
たとえば、電車や恐竜、昆虫などに異様なまでの情熱を注ぎ、専門家顔負けの詳細な知識を披露する姿に、周囲が驚かされることもしばしばです。
一つの遊びに没頭すると、その世界から離れることが極めて困難になります。無理にやめさせようとすれば、激しいかんしゃくという形で反発が起きることもあります。
ある成人のASD当事者が「子どもの頃、もし今ここでやめたら二度とその遊びはできなくなる気がした」と語っていたように、彼らの中には「この一瞬を逃してはならない」という切実な感覚が刻まれているのです。
これはある意味で、私たちが普段見落としている「時間のかけがえのなさ」に対する、鋭い洞察とも言えるでしょう。
それに比べて、定型発達の人たちが「また今度やればいい」と思えるのは、実は「鈍感でいられる」という能力を持っているからとも考えられます。
感受性の強いASDの子どもたちは、その鈍感さを持たないがゆえに、今この瞬間を最大限に生きようとするのかもしれません。
もちろん、こうしたこだわりの強さは、日常生活において柔軟性を欠く要因となることがあります。
周囲との関係性に摩擦を生むこともあり、集団生活の中ではトラブルの火種になることもしばしばです。
しかし一方で、この一点集中のエネルギーが特定の分野に向けられたとき、驚異的な集中力や専門性を発揮するという大きな強みになります。
だからこそ大切なのは、「こだわりを抑えること」ではなく、「こだわりをどう活かすか」という視点です。
子ども自身がそのエネルギーの向かう先を見つけ、周囲の大人がそれを支えることができれば、そのこだわりは「特性」から「才能」へと姿を変えていくのです。