【前回の記事を読む】【適材適所】不注意によるミスが多い部下を、受発注の担当にしたところ、彼の得意分野の力が発揮されて…

第1章 人を育てる

1、人を信じる

(3)意欲ある限り人を育てる(2例)

②降格にもひるまず

この検討により改善の要領をつかんだ担当者は、その後更なる時間短縮を目指して努力し、見事な成果を上げたのでした。要した時間は僅か1ヶ月あまりでした。

技術顧問に相談して、土曜日に炉を停止するときの温度の下げ幅を縮小するとの助言を得たとのことでしたが、それによって土曜日の停止時刻を遅らせ稼働時間を延長することが可能になりました。同時に月曜日の火入れの時刻が早くなりました。その他準備工程の作業改善などと相まって、

・起動は7.5時間早くなり15時30分に
・土曜日の炉の停止時刻が12時30分から16時に3.5時間遅くなり
・1週間の稼働時間は目標9時間に対して合計11時間増加することになりました。

研修最終日3月19日の前々日、社長から異例のmailが届きました。そこには「T君(当該係長)が素晴らしいことをやりました」と記されていました。

Tさんはその後昇進して工場長を務めることになりました。参加者全員による検討で改善のヒントをつかみ、それが成長への契機となった事例でした。

【 教 訓 】

・“誰にでも長所がある”配置転換で才能が拓く
・やり方が分からないで進めない社員がいる
・適切なヒントが成長の契機となる
・忍耐強く人を育てる

(4)やりぬく社員を育てる

①「君の水泳人生はここで終わっていいのか?」

私がたまたまテレビを見たとき、オリンピックで念願の金メダルを取った女子選手のインタビューが報道されていました。そして、記者の質問に次のように答えていました。

『厳しい練習に耐えられず途中で何度挫折しそうになったか分かりません。そんな時にコーチの次の一言が支えになりやっとここにたどり着くことが出来ました。それは、「君の水泳人生はここで終わっていいのか?」の言葉でした』

私はこれこそが指導者の果たすべき役割だと強く共感し、素晴らしいコーチに恵まれた選手の幸せを思いました。

物事は、仕事に限らず何事も当初の思い通りにはいきません。目標達成までには幾多の障害が立ちはだかり行く手を阻みます。

・計画の不備が露呈する
・人の協力が得られない
・政治、社会、経済環境の変化
・資金
・体力や健康状態 等など

目標達成には、それらの障害を一つ一つ乗り越え解決していかねばなりません。

そしてその障害を克服し遂に目標を達成した時人は大きく成長しています。

会社ではそのように目標達成までやり抜く人材を育てることが求められています。そして、そんな人材を一人でも多く育てた会社が強い会社といえるのではないでしょうか。

【教訓】

・育てるとは、“部下を信じ目標達成まで忍耐強く助力し激励し続けること”