【前回の記事を読む】上司の真の役割は、〝社員の力を120%引き出すこと〟そして〝部下を信じること〟そのために必要なのは…
第1章 人を育てる
1、人を信じる
(3)意欲ある限り人を育てる(2例)
私は、人を育てるには辛抱が必要と思っています。決して焦らず、その人に努力する姿勢がある限り、それに応じたいと思っています。人は誰もが長所を持っています。成長の芽を持っています。それを引き出し、その人が立派に成長した時、私は心から嬉しく思います。
①配置転換で力を発揮
第一は三洋電機の営業部在籍時代のことです。一人の新入社員が入ってきましたが、彼は仕事をやっては不注意によるミスや落ち度があって、当時の部長によく叱られていました。この部では年に一回、業界でも話題の大きな招待会を開催していましたがこの時は特に大変でした。
こういう大きな行事では、いざ本番となると一人で二人分も三人分もカバーして機転を利かせないとうまくいかないものなのですが、入社早々という事もあって、彼には中々大変だったはずです。しかし、彼は怒られても怒られてもこまめに良く動き、ひたむきに働きました。
そこで私が営業部長に就任した時、何とか彼を一人前にしたいと思い、彼に日常の定常業務をきちんと正確にこなす事を習得させる目的で、受発注の仕事を担当させる事にしたのです。
するとこれが彼の大飛躍につながりました。彼は技術系の出身で電気に興味を持っていましたが、丁度その頃OA化が始まっていまして、物流や受発注業務がOA化の恰好の対象となっていました。
彼はがぜんこのOA化に関心を示し、その虜と化していきました。部内にLANをいち早く導入し、独自のソフトを次々に開発して積極的にOA化を進めていきました。そして、大変だった招待会も、OA化により極く少人数で迅速且つ確実に処理されるようになりました。
彼の弱点はコンピューターにより完全にカバーされ、それまでの二倍も三倍もの力を発揮して余りある成果を上げてくれたのです。その結果、私の担当していた営業部は当時構内で最もOA化の進んだ職場になりました。
彼はその後、幹部社員として活躍すると同時に、研修センターに求められて営業部に所属しながら、全社のOA化の講師をも務めることになりました。