【前回の記事を読む】叱るより、信じる。——経営再建から導き出した信頼関係から始まる“人の育て方”

第1章 人を育てる

1、人を信じる

(1)信じてこそ人は育てられる

② リーダー研修の要請を受けて

独自技術で好業績を上げている会社の社長から、リーダー教育の要請を受けました。この会社ではすでに生産性向上支援の一環として"作業のやり直しをゼロにする"という意欲的な目標を掲げて全社で3か年計画の活動を開始していました。熟練を要する独自技術が会社の強味でしたが、熟練作業だけに作業のやり直しが多く生産性のネックになっていたのです。

私は研修には二つの要素があると思っています。

一つは、知識の習得です。何をするにもそれに関する知識が必要です。基礎知識、専門知識、また同じ知識でも、求められるレベル等などいろいろあります。そしてその知識が人の能力の底辺をつくります。その意味で知識の重要性は否定出来ません。

しかし、知識は、研修会への参加ももちろんですが、本を読んで自習することによっても習得することが出来ます。

二つ目は、実践力或いは実務能力です。知識があれば実務が出来るかといえば決してそうとはかぎりません。一級建築士を目指している卒業前の学生が、建築事務所で実習をした後の検討会で次のような感想を述べたことがありました。「実習期間中、勉強したことは全く役に立たなかった」と。

実務をこなして一定の成果を上げるためには次のような知識以外のさまざまな能力が必要です。

・現状分析力

・問題を発見する力

・目標設定能力

・人の協力を得る力

・困難を克服して目標を達成する気力・体力等など

しかし、これらの多くは実践によって幾多の苦労を経て初めて獲得出来るものでもあります。