まえがき

今、企業を取り巻く政治経済の環境が激変しています。その中にあって特に中小企業の重要経営課題と言われているのが、“生産性向上”と“人の育成”ではないでしょうか。

わたしは先に「生産性向上はこうする」を幻冬舎から出版させていただきましたが、この度新たに先著の姉妹本として「人を育てる」と題して出版することにいたしました。

現代企業の経営課題の参考書として、中小企業をはじめ、同様の課題を抱えている皆様のお役に立てば幸いです。

私は、三洋電機在職時代の事業部再建の経験を“三洋電機事業部改革 感動の軌跡―折り重なって前へ行け”と題して日刊工業新聞社(現在廃刊)から出版いたしました。その後、会社を退職して後はその経験を活かして主に中小企業を中心に企業の経営支援に従事してきました。

著書は全てその経験に基づく事例を中心に記述しています。そして事例も全てその生産性向上の実践活動を通して人を育成した実践例です。格別の投資を要したものでもありません。折に触れて目次から関心のある個所を拾い読みしてご利用いただくのもよいかと思います。

本書では、職場改善の基本として「4S(整理・整頓・清潔・清掃)」の重要性をはじめ、「あいさつの力」「現状分析の徹底」「“すぐやる”行動の価値」といったテーマについて、繰り返し触れています。重複と感じられる部分もあるかもしれませんが、それぞれ異なる文脈や実例を通じて、実践のヒントとして受け取っていただければ幸いです。

“経営は人なり”と言います。私はこの著書が世に出るころには91歳になっていますが、この書が私の人生最後のご奉公として皆様のお役に立つことが出来ればそれに勝る喜びはありません。

末筆ながら読者企業のご発展と読者の皆様のご発展を心よりお祈り申し上げます。

令和7年吉日 平石奎太