私にとって適材適所が最もうまくいった事例の一つで、部下の長所を見出し力を引き出すことの価値と重要性を感じた事例でした。
〝誰にでも長所がある〟。部下をもつ上司の肝に銘じたい心得です。
②降格にもひるまず
第二は私が支援した熱処理工場の事例です。
支援が始まってしばらく経過したときのことでした。会社を訪問して驚いたのですが、製造課長が係長に降格されていました。
社長によると、管理職としての自覚が足りないとのことでした。しかし当該社員は降格にも悪びれることなく黙々と改善に取り組んでいました。そのすがたを見て、他事ながら何とか努力に応えてあげたいと思っていました。
そして支援の最後の半年を迎えたときに係長の新たな意欲を思わせる出来事がありました。製造部から活動の締めくくりに相応しい大変意欲的な目標が提示されたのです。
熱処理の炉は土曜日に停止し月曜日に起動させるというものでしたが、月曜日の起動時刻を、現状の23時から14時に、なんと9時間も早めるというものでした。設備の稼働率向上により納期の改善はもとより、経営に大きな貢献が期待されるものでした。
先ず、現状を調べ、準備開始から起動迄の各工程の所要時間を記入した工程表を作成することから始めるように提案しました。現状を整理し、図表化して現状を冷静に眺めることにより問題の所在が分かりやすくなって大きな改善に結びつくからです。しかし、9月に開始して以来1月になってもその工程表は出来てきませんでした。
社長から叱責の声が飛びました。時間はあと2か月しか残っていません。そこで急きょその場で、参加者全員で工程を整理することにしました。ホワイトボードに、8時の出勤から23時の起動迄の工程を時間軸で書いていきました。先ず炉の内部と周辺の掃除に約2時間かかっていました。すると、すかさず社長から声が飛びました。
「掃除は周りから手の空いた人を集めて協力してもらえ。そして君は次の作業にかかれ」
担当者と経営者の価値観の違いでした。掃除の次の「設備の点検と合わせて4時間かかっていましたが、掃除・点検(後日検討して4人で行うことになった)とガス・イン(ガスを投入)を同時並行で行うことにより約3時間の短縮が可能になることがわかりました。
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