【前回の記事を読む】「中1ギャップ問題」近頃の子どもは堪え性がない。特に、小学校を卒業して中学校に進学する時、多くの子が突然……

第1章 これでいいのか日本の小学校

§1 「中1ギャップ」解消に潜む問題

さらに最近は、こんな言葉もよく耳にするようになってきましたよ……

「卒業生を中学校へとソフトランディングさせてやりましょう」

うーん、ソフトランディングかぁ~。……確かに、耳当たりの良い言葉ではありますね。

でもこれって、ぼくには「甘やかし=ぬるま湯社会」の象徴にしか聞こえません。

ソフトランディングさせるということは、大人たちが先回りして敷いた安全なレールの上を、子どもたちにスイスイ歩かせておいて、「よし、これなら大丈夫」と、安心しているのはレールを敷いた当の大人たちだけ、という話ではありませんか?

ほら、ここにも、「中1に進学する子どものストレス=大人に近づくための大切な通過儀礼」という大事な観点がすっかり見落とされてしまっています。

ここで問われるべきは、「中1ギャップのストレスの大きさ」ではなく、そのストレスに耐えられない子を、小学校の6年間でたくさん育ててしまった「周囲の大人たちの子どもへの関わり方」なのではではないでしょうか。

まずは、そこから見直すべきではありませんか?

「小中一貫教育」だとか「中学校体験入学」だとかいったものを、批判する気は全くありませんが、何か問題が起こるたびに大人が先回りして、危機感・緊張感・切実感といった適度なショックを子どもたちから奪い去ってしまっていては、自ら進んで考え主体的に自分の力を試してみようというレベルにまで、子どもは、いつまでたっても到達できないままでしょう。

さて、そこで大切になるのが、小学校の先生方の日常における子どもたちとの関わり方ですね。

(1)「中1ギャップ」は、きみたちが成長していく過程で大切な意味を持っているんだよ。と、まず、きちんと認識させる。

(2)その上で、ひとりひとりの子に対しては、自分が卒業する時の姿を「その時きみはどうあるべきか、どのようになっていたいのか」と、問いかけ、子どもなりにシミュレーションさせる。

(3)さらに、そんな卒業の日を迎えるためには今日一日何をなすべきか、をも問いながら日々の学校生活を送らせてやる。

そういう働きかけの中で子どもを育てていくことが、担任の重要な役割なのではないでしょうか。