「遥香、今どんな気持ちなんだろう。きっと僕が遥香を訪ねたことはもう耳に入っているだろうし、やっぱり会いたくないのかな」
「まあ、女心は複雑だからね。はいこれ」
明里さんはすでに大量に買ったのであろうお土産のいくつかを開けていた。
「いっぱい買ったんだね」
「旅行だからね」
「なるほど」
「こういうのは、後で後悔しないようにするのが一番なんだよ」
明里さんは、お土産の袋を漁りながら言った。
「今買っておかないと後悔すると思ったから、たくさん買ったんだ。優くんも同じだよ。今日はいつもよりいい顔つきをしてる。きっとどんな結果になっても後悔することがないように行動できたんだね」
ぼんやりと今日のことを思い返す。人によっては、もっとここを踏み込めたのではないかと指摘する人もいるかもしれないが、僕にしては上出来だと思う。実際、由紀子さんは最初に会ったときよりも、わずかながら感情に変化を見せたように思う。
「それなら大丈夫だね。まずは帰ってお祝いをして、次のチャンスが訪れることを期待しよう」
「お祝いってなにするの?」
「お祝いはお寿司だよ。昔からそう決まってるの」
「それ、誰が決めたの?」
「法律で決まってるよ」
なんの悪気も企みもない表情で、明里さんは嘘をつく。そういう彼女の冗談に、僕はやはり救われるのだ。きっと僕一人だったら、落ち込んだまま歩いていたことだろう。
夕日に照らされ、二人の影が徐々に伸びていく。こういう帰り道はとても懐かしい。
次回更新は6月30日(火)、11時の予定です。
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