はじめに
日本が今、壊れそうになっている。壊したくない日本とは何なのか、これからの日本をどうしたいのか、コメ問題も含めて混迷を深めている。こうした状況では、歴史を研究し、新しい知識や見解を得る“温故知新”を実践したい。
日本人は人種分類上、モンゴロイドに属する。黄色人種、蒙古人種とも訳されている。息子にも孫たちにも幼児の頃、蒙古斑があったから、自分にもあったはずである。出現地と思われる蒙古(モンゴル)とは、どんなところか、一度はこの目で見たいと思い旅行した。
私たちの旅行と入れ替わりで、天皇皇后両陛下が国賓として正式訪問され、モンゴルに抑留されて死亡した日本人を慰霊された。
この、80年前の1945年(昭和20年)、私の父はモンゴル国境で終戦を迎え、シベリアに抑留された。モンゴル、シベリアどちらも、生き地獄の抑留生活だったようだ。
父が出版した『シベリア日記』に記された当時の経験等を参考に、80年の時間と、モンゴル・シベリア・日本の空間を往復しながら、日本・モンゴル・ロシア・中国の歴史を追って時空の旅をした。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」とは、ドイツの鉄血宰相ビスマルクの格言だが、経験と歴史を学ぶ二刀流にチャレンジした。
〈はしがき〉
日本には戦闘状態が終了しているにもかかわらず、数年間ソ連に抑留され、ソ連労働者農民と共に働き、共に語った経験のある人々がおられます。わたしもその一人であります。…
私はソ連が日本人を数年の長きに亘って酷使し、数万の人々に十分な食料を与えず死亡せしめ、今なお北方領土を占拠している事実を、許すことも忘れることもできません。…
私は人命尊重、人道上の見地よりこの問題を、論議究明していただきたいのです。そして日本人の、人類の、幸福な道を見出していただきたいのです。この為にシベリアの抑留生活の実情を、厳粛なる歴史上の事実として、記録に残したいのです。(昭和四十二年 清水二郎)