真夏の岬は、油絵具を散りばめたパレットのように色彩で溢れていた。褐色の火成岩、恒星のように輝く日向夏(ひゅうがなつ)、潮風が練り込まれた有刺鉄線、置き去りの銀色の自転車、角砂糖のような小さな官舎……その岬の突端、小高い丘の中央に、白亜の灯台が屹立している。揺らめく陽炎、無気力な風力計。一年を通して人影も疎らなこの風景を、いまは一世代前の監視カメラがぼんやりと眺めているだけだ。その〝風景〟が突然動…
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