父親が亡くなって20年、母親は七年、猫は十五年になる。それぞれが、あるいは共演の形で今でも夢に出てくる。
両親は実家で暮らしていたから、猫との共演は少なかったが。
どちらにしても私の夢の中では、彼らが〝当たり前のようにそこにいて〟話が始まった。
いずれも死に目には会えなかった。つまり亡くなるまでのプロセスに立ち会えなかった。
棺の中の硬く動かない姿は見たが、冷たい肌の感触に旅立ったという実感はわかなかった。彼らは夢の中では、生きていることが前提でふつうに話しかけてくる。
私自身、死を認識はしていても、脳にはまだ記録されていないのかもしれない。
両親の、いくつになっても子ども扱いして苛立たせる口調は変わらない。どうしてこれほどまでにリアルに感じられるのだろう。
夢に親が出てきて話しかけてくることも、猫が夜中に走り回ることも、タイムリープなのではないかと考えた。
向こうが私の夢にやってきているのではなく、私が彼らが生きていた時代に飛んでいっているのではないのかと。
そう仮定すれば、房総から飛んで帰ったときのタイムリープも合点がいく。
私は自分の意志で飛び、自分の意志でタイムリープできたのかもしれない。
もちろん全ては夢の中でのできごと。あまりに都合がよすぎるが。
次回更新は7月1日(水)、11時の予定です。
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