二つの発見

木更津まで戻ってきたころには、東の空は次第に赤みを増し、夜明け前の光が東京湾に届き始めていた。こんな時間にも湾を行き交う貨物船の軌跡がある。海を渡る間は見つからないだろうが、多摩川に入ったらどうだろう。

川崎側に着いたころには、周囲はかなり明るくなっていた。地上から見れば米粒大でも、人の姿とわかってしまう。あと10分かそこらでたどり着けるはずなのに。

私は鳥人間の動きのままで、瞼を無理やり開いてみた。近視なので裸眼ではぼんやりとしか見えなかったが、そこが自分の部屋であることに気が付いた。そう、私は東京湾上空からタイムリープ(時間旅行)をしたかのように戻って来ていたのだ。

身に付けているのもY-3のジャンプスーツとスポーツ下着ではなく、アスレタの薄いジャージに替わり、いつものベッドにいた。

前回経験した以上に都合のよい瞬間移動だった。額の冷汗を拭いながら、同時に落胆もした。やはりこれは夢の世界でしかなかったのだ。

「そうだよな。そんなものだよな」

そうでなければ、こんなに都合よくタイムリープができるはずがない。