口パク
ある時などは喫茶店のお客役だ。しかしそこにも小さな矜持がある。
喫茶店での客役は一見喋っているようで、実は口パクなのだ。ただ口パクとは言え、単に口をパクパクさせているのではない。
設定に応じた身振り手振りを交え、本当に言葉を発しているかの如く演じ、その場面を引き立てる必要があるのだ。
戦隊ショー
もっと酷かった役もある。日頃舞台で演じていて、更にダンスが得意と事務所に売りこんでいたため、マネージャーから適役があると言われ撮影現場に向かった。
そこは遊園地。俺には嫌な予感しかしなかった。戦隊ショーである。
しかも、ヒーローに一発で倒される悪役しか回ってこなかった。
マネージャーが言っていた『適役』は『敵役』だったのだろうか。
黒装束とマントに身を包み、ステッキを携え、ヒーローと対峙するのだが、ドーランをべっとり塗っているものだから、どこの誰かもわからない。
ごく簡単な殺陣もやるが、最後はヒーローから一発お見舞いされて、断末魔をあげながら、その場に倒れこんだところを足蹴にされるのだ。
グルメ番組
これは聞いただけの話なので真偽のほどは定かでない。
タレントが「この店に入ってみましょう」と言う。突然の訪問にもかかわらず、自然体で迎え入れてくれる店主。
お客さんにも驚く表情がない。
あらかじめスタッフが店内のお客さんにお願いしている場合もあるが、エキストラが飲食を演じている場合も多々あるらしい。