「頭ばかり鍛えるのではなく、体力も付けなくてはいけないぞ。でないと年齢だけでなく瞳との体力差も出てくるぞ」
「はい……こんなに体力が落ちているとは思いませんでした……」
英介は汗びっしょりの顔をタオルで拭いながら周辺に目を向けた。
このウォーキングコース=遊歩道沿いには大きく流れの早い一級河川があり、ここからは向こう岸にある隣町が一望できる。そして遊歩道には三メートル間隔で大きな桜の木が植えてある。そのため桜の花見の時期には多くの人で賑わう。
英介が景色に見惚れていると、向こう側からこちらに向かい姿勢を正し勢いよく歩く女性が笑顔で郁三に手を振り向かってきた。
「郁ちゃん。おはよう」
「おー佳那ちゃん。おはよう」
「そこ座っていい」
「あー。もちろんさ」
その清楚な女性は空いている郁三の右隣に座った。
「あら、郁ちゃん今日はいつも話に出てくる息子さんと一緒なの?」
「いやこれが違うんだな……孫娘の旦那なんだ。あと俺の教え子でもあり英介という」
郁三は少し照れくさそうに言った。
ちなみに隣の英介は表情は紳士的であったが顔は真っ赤になっていた。
「あっそうなんだ。間違っちゃってごめんなさいね。挨拶が遅れました。初めましてです。郁三さんにはお世話になってます」
佳那は英介の方を見て挨拶した。
「風間英介です」
英介はもしかしてと何かを悟ったようだった。
先手を打つように、突然郁三が話し出した。
「私と佳那ちゃんは付き合っているんだ」