8日目 2024年9月26日(木)
●気温:31℃ ●天気:晴れ ●予定距離:25km ●参拝目標:22番 平等寺 ●宿泊予定:体験民宿とまこ
四国遍路は毎日日常では考えられない距離を移動する。毎晩の宿を確保しながら、トラブルに備えて2~3日分ずつ計画し、自分の体力、寺間の距離、行程のアップダウン、宿の有無を全て調整するので大変だ。今日の行程は22番札所だけだが、それでも20kmになる。
連日の歩行と山越えを考えると、今日は本格的な山登りがないだけマシだ。朝、太龍寺の麓の宿を出発し、22番へ向かう。緩やかな峠を上り、900mほどのトンネルを2 つ抜け、12kmを3人で歩いた。今日の徳島は台風の影響か31℃と暑い。名古屋を出発した時は35℃だったからまだマシなはずなのに、連日の歩行の中での31℃は本当に辛い。
そんな時のトンネルは天然のクーラーのようで、これぞ《天の助け》だと思った。トンネルから出たくないと思う自分に苦笑する。
目的地まで山裾の民家、川の流れ、田畑が並ぶ、どこか懐かしい田舎の風景の中を歩いていくと、お接待で紙袋いっぱいのお菓子や飲み物を振る舞ってくれたご夫妻に出会い、感謝しながら歩き続けた。
22番札所はそんな温かい景色の中にあり、広過ぎず狭過ぎず、風の通る心地よいお寺だった。近所に住んでいたら毎日立ち寄りたくなるような、子供たちが集まりそうな雰囲気で、何時間でもいたくなる優しい場所だった。
宿は近いがチェックインにはまだ早かったので、ジュリオが行きたがったローソンを探して向かったが、予想以上に遠く、コンビニから宿への道でGoogle先生(Googleマップのこと。常に道案内をしてくれるので私はこう呼んでいる)に騙され、竹林の中に入る羽目になった。遍路道にこんな道があるはずはない。
私は戻ろうと言い、ジュリオは進むと主張。説得する気力もなく、敦美ちゃんには「好きな方へ行って。宿で会おう! 私は戻る」と言って竹林手前まで戻り、あらためてルートを探す。遠回りさせられたが竹林で迷うよりはマシだとGoogle先生に従って歩く。
しかし無駄に時間と体力を消耗させられてイライラし、ついにスマホに向かって「お前! ふざけんな! 叩き壊すぞ!!」と怒鳴ってしまった。自分がスマホ相手に本気でキレるとは思わず、余裕のなさに驚きながらも疲れるとこうなるのかと情けなく思う。しかしスマホを頼りに歩いているので電源も切れず……。
Google先生は「コースをハズレました」と連呼。「うるさい! あんたが変な所を案内するからだろ!」と返す私。「新しい道を検索します」「待ってられない。もっとサクサク仕事して!」と延々スマホと口論しながら歩いていると、畑仕事中のおじさんが「何だ! お遍路さん1人か! 2、3人で歩いてるのかと思った!」と笑われた。「すみません、誰もいないし……」と事情を話すと、気の毒に思ったのか道を教えてくれた。
四国の人は本当に親切だ。
▶この話の続きを読む
峠を一人で下っていると、白い軽が通り過ぎてカーブの先で止まった。私を待っていたらしく、助手席から降りてきて…
【イチオシ記事】夫の不倫現場に遭遇し、別れを切り出した夜…。「やめて!」 夫は人が変わったように無理やりキスをし、パジャマを脱がしてきて…
ゴールドライフオンラインは、表現者を応援するウェブメディアです。
生身の人間が紡ぐリアルな言葉だからこそ、読者の心を揺さぶる力があると確信しています。
あなたも、"表現者"になってみませんか?
ゴールドライフオンライン編集部:glo_henshu@gentosha.co.jp