いつも猫さんはそれを跳び越えて行き来するのだが、この日は私の元へやって来る時につまずいてバランスを崩し、転倒したのだ。

下半身の筋力が落ちているのは明らかだった。かつて、ちょっぴり太目だった頃でも力強く軽快に跳び越えていた猫さんが。また一つできる事が減って行く。

悲しくなった。それに、これでもう私の部屋に来てくれなくなるかもしれない。

彼女は学習能力が高い。危険と分かれば、二度と近づかなくなる習性がある。掃除機に尻尾を吸われかけた時も、蝋燭に鼻を近づけ過ぎた時も、そうだった。

しかし、今回は違った。夜遅く、猫さんは頑張って力一杯ジャンプして私の元へ来てくれたのだ。

見事に着地して喉を誇らしげに鳴らしている。病気でだるいだろうに、平気だよという顔をして。私は、その頭、背中、腰をたくさん、たくさん、撫でた。

この日の栄養はおやつの食いつきが悪く110キロカロリー程度。水分は飲水220mlに点滴120mlの合計340mlだった。体重は4・50kg。

三月二十七日(木)

朝、飲水をしたがすぐに嘔吐。岩を山の上に押し上げては転がり落ちるというシーシュポスの神話を思い出し、悲しい気持ちになる。おやつも拒否をする。

午前の仕事を終えて、帰宅する。

猫さんは寝ていたが、起こしてちゅーるを食べてもらう。

夕方、点滴に連れて行く。帰ると、久々にカリカリご飯を食べてくれた。夜、少し元気を取り戻したのか、家の中をパトロールする。

この日の栄養は150キロカロリー。水分は飲水200mlに点滴120mlの合計320ml。体重は4・44kgと成猫になってからの最低記録だった。

次回更新は6月21日(日)、11時の予定です。

 

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