第四章 流転の成年期

28歳からの入院生活

アサオも男盛りを迎えていた。もう立派な成人である。でもまだKK病院にくすぶって居た。思い返せば6年前、28の時、行く宛てもなく、職も無く、帰る家も無く、食べる物も無く、金もなく、着替えを紙袋に入れて、友人の家を転々と渡り歩いていたアサオは友人の紹介でKK病院に連れて来てもらった。

アサオはココに入院しようと思った。そうすれば明日から満足に飯が食える。友人は玄関迄アサオを連れて来ると帰ってしまった。立派な玄関である。アサオは受付のある2階に上がり、事務所で「入院したいのですが」と言うと、事務員が「それには診察を受けてもらわないと。診察は今日は終わったから明日又、9時に来て下さい」とにべもない。

アサオは今日泊まる所がない。今晩食う飯がない。必死だった。

「僕、病気です。入院させて下さい」

何度も頼むと事務員はケースワーカーのKさんを呼んでくれた。そして「明日いらっしゃい」アサオは必死だった。

「お金なくて行く所もないんです」

それを聞いていた、可能義一院長が「俺の所へ連れて来い」アサオはこの人なら解ってもらえると必死に現状を訴えた。院長はアサオの話を聴いてくれ、「家族は?」と一言、言った。

「母が市内に住んでいます」

「何で早くそれを言わん。よし入院だ」と院長。

アサオは目出度く入院が決まった。病棟に連れて行かれた。屈強の男達の居る、うす暗い病棟だった。

試し読み連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。

 

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