【前回記事を読む】想定外だった。一体どこで? ミステリアスなパリジェンヌにフランス語で尋ねると、彼女はカタコトの日本語で喋ってきて……

二人で行く最初のヨーロッパ買付け

この初めての体験はすべてうまくいっていたかに見えていた旅の最後。成田に戻る飛行機に乗り遅れてしまう。このとんでもない失敗は気持ちのゆるみか、お互いに頼ってしまっていたのか、フライト時間の思い違いか。

それに加えて予想を越える道路の渋滞でタクシーが前進しない。見切りをつけて地下鉄に乗り換えた。

ヒースロー空港に近づく頃、角度をつけて急上昇していくジャンボ機の様子が走行中の地下鉄の車体のガラス戸越しに映る。私達はあの飛行機に乗って成田に向かっている筈であった。

沢山の荷物をカートに積んでチェックインに向かった。カウンターにもう人の気配は無い。しかし日本のエアラインの対応は優しかった。

「今日はもう帰れないけれども明日の同便をお取りします」と。

更にキャビンで利用している最寄りのホテル迄送ってくれた。覚悟をしていたボーディングパス代は不要であった。キャビンの皆様の優しさで、この大失敗を二人は笑顔で帳消しにすることが出来た。

これ以降ヒースロー空港での出国の折、暫くの間「乗り遅れた人」という冠をつけられるに至った。度重なる空港利用で顔なじみなクルーが多かった。

この大失態を含めて二人での最初のヨーロッパ買付けは思い出深いものとなった。