有安 静子

この至って普通の女は中年に至り、建ち上がった別荘を見たことによる心の変化がはじまりであった。私の中に潜んでいる性分か、立ち向かう本能が露呈しただけのことであろう。好ききらいがはっきりしている女が脇目もふらず、辛い苦しみに直面しながらも切れそうな心の糸にしがみついて、一途に道を歩んできた。この一人の女に勝算があったと振り返っている。この人生を溺愛し過ぎてきた故の別れ際に今、苦しんでいる。

掲載記事

書籍

  • ARU女
    有安 静子
    出版社名:幻冬舎メディアコンサルティング
    社会を知らずに生きてきたひとりの専業主婦が、
    立派なアンティークディーラーになるまで。
    「飾屋俱楽部3545」のオーナーが綴る、自伝的エッセイ。

    時に悩み傷つきながらも、
    心に灯した光を頼りに人生を切り拓いていく。
    読めばきっと勇気をもらえる一冊。