【前回記事を読む】「この話、重要? 今いいところだから」何でそんな顔をされなきゃいけないの? 変なのは彼の方。デート中にイヤホンで…

#2

「あと、あのジェットコースターは二人一組の座席だから、当然一彦と南が一緒に乗ることになるだろ。一彦の座席の前に乗っても後ろに乗っても、ジェットコースターに乗っているときの一彦の顔を見ることはできない。でも、ここなら見ることができる」

そう言いながら西海が示したのは、目の前にあるジェットコースタ―のレール。これから東堂と南さんが乗るやつだ。

つまり一緒に乗ったところで顔を見ることができないから、乗らないで通過する様子を見る、と。

こういうのって一緒に同じ体験をすることに意味があるんじゃないのか。わざわざ別行動をとってまで東堂の顔を見ることを優先するなんて、やっぱり西海は変人だ。

「来た!」

と、西海が声を上げた瞬間、

本当に一瞬、

ジェットコースタ―が通過していった。あっという間どころか、声を上げる間もなく通過していった。

いや、これはない。

東堂の顔がどうとかいう前に、東堂がどこに座っていたかすらわからなかった。本当にこれに乗っていたのだろうか。別の回だったんじゃないだろうか。さすがにこれは西海もがっかりするだろう。

「見たか、今の一彦の顔! あんな顔初めて見た!」

困惑している私とは対照的に、今日一番いい笑顔を見せる西海。

どうやら西海には見えていたらしい。信じられない。