営業マンにとって一番攻略しにくいのが、お客様からの「考えます」「検討します」だ。これを言われてしまうと、なかなか切り返すことができず、負けじと売り込むと、それは〝押し売り〟になってしまう。

「今まで何回もその“検討します”という言葉に涙をのんできましたよ」

「営業マンはみんなそうだろうね。検討しますと言われて切り返すのは、ほとんど無理に近いよ。

だから、トップセールスになるような人は、そもそも言わせない工夫をしているんだよ。

よく考えてみて。俺たち営業マンは自分の時間を割いてお客様の問題解決のために一生懸命提案をしているのに、結論は出せませんというのはおかしくないかい?」

「うーん、おかしいんですかね……。すみません、どうしても、結論は出せませんって言われたら、仕方ないですよねって思ってしまいます」

「それはね、斎藤くんがまだ自分の仕事にプライドを持てていないからだよ。

自分の培ってきた経験、持ち得る知識を総動員してお客様の悩みを解決しようと一生懸命アドバイスしているのに、答えは出せませんって言われたら、プロ意識を持って仕事をしている営業マンなら普通は怒るよ」

「……そうですか」

「逆に言うと、相手に結論を求める以上、斎藤くんもしっかりと商品知識を身に付けてお客様の力になれる営業マンにならないといけないんだよ」

確かにそうだ。中途半端な営業をしておきながら、お客様にだけ結論を要求するのは間違っている。僕は深く頷いた。

「はい。なんだか、金光さんとお話しをしていて、今までの自分は全然ダメだったんだと気付かされました」