【前回の記事を読む】ノーをイエスと言わせるのが優秀な営業?——本当のトップセールスはお客様に「ノー」と言われた瞬間…

一つ目の教え

「知らなかったです。……というより、そこまで分析した事がなかったです」

「そうだろうね。でも、それじゃあトップセールスにはなれない。何事も分析しないとね。

逆に言うと、ノーのお客様をイエスに変えようとする営業よりも、ノーのお客様には売らないと割り切っている分、浮動票で悩んでいるお客様には全力で購入を迫れるようになる。

それで断られれば次のお客様にいけば良いだけだしね。

すべてのお客様からイエスを引き出すことなんて、世界中の女性を自分に惚れさせるくらい無理なことだよ」

さっきから感心しっぱなしだ。

僕は今まで営業という仕事にきちんと向き合えていたのだろうか。

ただ何も考えず、目の前のお客様に家を見せて、買ってくださいと言っていただけなんじゃないだろうか。

これからはもっと真剣に向き合おう。不動産営業という仕事に。

「まぁ、これから覚えていけばいいさ。

では次に、家を探すときに大事な三つの条件があるんだけど、それが何だかわかるかい?」

「三つの条件……ですか?

ええっと、『お客様の希望にあった間取り』と『駅からの距離』と『金額』ですか?」

僕はなんとか三つ答えたが、そこまで確信を持って答えることができなかった。

「あぁ、惜しいね。正解は『立地』、『建物』、『金額』の三つだ。

斎藤くんの言った『お客様の希望にあった間取り』だけど、これは確かに正しい

でも、建売住宅というのは、間取りをある程度自由に変えられる注文住宅と違って、建売会社がプランニングした間取りで建ててから販売するだろ?

だからまず、『お客様の希望を一〇〇%満たしている家は存在しない』ということをお客様に理解していただく必要がある。これはとても重要なことだよ」

「確かにそうですね。でも、その三つの条件以外にも大事な条件ってあると思うんですけど……。たとえば、保育園が空いているか、実家からの距離とかの問題も出てきますよね」

僕は過去にあった事例を思い出しながら言った。

「そうだね。一般的な営業マンは、まず物件を見て気に入ってもらい、その後にもろもろの問題を解決しようとしてしまう。でもそれじゃあ順番が逆なんだよ」