【前回記事を読む】「僕たちは不倫している人か親子にしか見えない」24歳差の若い女性にそう言うと、彼女は涙を浮かべ…

瞳に一目ぼれ 

「へーそうなんですね。おじいちゃん偉い方なんですね。ちなみにお父さんは同じ業界の方ですかー」

英介は一瞬、もしかしたらどこかでお会いしているかもしれないと思った。

トムとジュウェルも興味津々で聞いていた。

「風間さんのご両親は?」

瞳はさくらんぼ酎ハイを飲み干し、グラスの中に入っていたさくらんぼを口の中に含み聞いてきた。 

「うちの両親は僕が小学生の頃に交通事故で亡くなったんです」

ジュウェルは目頭が赤くなるほど涙を流して泣いていた。

ちなみに、瞳は口の中に入れていたさくらんぼの種を飲み込んでしまった。

「そうだったんですね。ごめんなさい。そんなこと聞いちゃって……」

瞳は申し訳なさそうな顔をした。

「全然。大丈夫ですよ。だって早川さんと会ってまだ一日も経っていないんですから」

英介はやさしく微笑み返した。

トムは英介のやさしさに対しよくやったと腕を組みながら頷いていた。

「そうなんですね、まだ私たちって会って一日も経っていなかったんですね」

瞳も苦笑いした。

「僕も早川さんに興味をもってきたようだ」

英介は真剣な眼差しで言った。口にソースとマヨネーズを付けながら……。

実際、瞳は英介が真剣ながらも口にソースとマヨネーズを付けていたので、どのタイミングで言ってあげようかそれとも自然に取ってあげようかソワソワ迷っていた。

この貴重なシーンを目の前にしながらもトムは英介の顔を見て何してんだと天を仰ぎ目をつむっていた。ちなみにジュウェルは涙を浮かべ笑いながら両手で目を押さえて上を向いていたのであった。

結局、英介は口に付いたソースとマヨネーズを瞳に拭いてもらった。そして、真っ赤な顔をしながら瞳の優しさに感謝した……。

その後、二人はお腹一杯になり店を後にした。

店を出てすぐ進むと大きい通りに出た。英介は時間が遅くなってしまったが出会ってすぐにタクシーに同乗して家まで送るか、送らずに一人で家まで帰らせてしまうのか悩んでいた。すると瞳が恥ずかしそうに言った。

「風間さん。わがまま言うようなんですが家まで送っていただいてもよろしいですか」

「もちろん、送らせていただきます」

英介は笑顔で答えた。そして、タクシーに乗り込んだ二人は幸せ一杯であった。

「どこまで行きましょう」

タクシーの運転手が問いかけた。

「成城までお願いします」

そう瞳が答えた後、英介は真剣な眼差しで瞳の右手をギュッと握った。瞳も赤面しながらもゆっくり手を握り返した。そして瞳は英介の肩にそっと寄り添ってきた。一瞬、瞳のいい香りに英介は胸が爆発しそうであった。