【前回の記事を読む】「何かが潜んでいる?」底なし沼を覗いた瞬間、光が噴き上がり……彼女は自ら渦の中へ………

一、地底湖の王女

『沼の入り口から入って大地の奥の最奥へ』

記憶の底に潜む未知の想念に誘われ、ジュランは埋もれていった。おぼろげに自分は透明なカプセルの中に横たわっていると知った。緩慢に落ちていく感覚と共に、俗界の雑音から解放された静けさの中で、おおらかな地球の奥底へ流れていく。

叶わぬ夢を追い続けた無念の十五年が脳裏をぐるぐると駆け巡る。徒労に終わる日々、虚しい希望、辿り着かない理想郷――。いつしか悲哀の底で彼女はうめき声をあげていた。

〈誠意や努力に価値はあるのか。すべて水泡に等しいのだろうか……。無情の矢はとどまることなく降り注ぐ。最善を尽くし奔走したあげく、私は何ひとつ得られなかったのか……〉

願望と逆境の狭間でもがきつつ、虚空の天使を追い求めてきた。もともと自分にとっての真の現実は、理想郷であったはずだ。そこで生きる住民は天使の如き存在であり、博愛に満ちて一つの家族と変わらない。

これこそが本来あるべき至高の姿であり、真理であるはずだと彼女は信じて疑わず、生まれつき持った童心は、いかなる苦境に陥っても失われることはなかった。

光の自分と光の家族像は幻想となって空回りした。年を増すごとに、魔界にも似たおぞましい現実を生きる哀しみが、心をずたずたに引き裂いていった。沼は悲憤と憂愁、傷心のすべてを内包し、回転しながら地球の中心へ彼女をいざなった。