NYに戻って、こちらも前任の渋い方から代わったばかりのリオアルゴム社の新任財務責任者と、既にCITI東京より進展の報告を受けていた同行の担当者で友人のクリスと、電話会議での打合せとなった。
“Great Progress!!”との喜びの声で始まり、リオアルゴム社とM物産間の交渉も再開することとなった。
それでも、1年以上の時間は、諸々の契約や条件を整えるには長過ぎることは無かった。
チリ政府よりの許認可、コンセッション契約も結ばれたとの報がリオアルゴム社より入り、それをCondition Precedent(前提条件)としたM物産とリオアルゴム社とのShare holders Agreement(株主間契約)及びOff Take Agreement(製品引取契約)も発効の見込が立った。
Lender側の法務アドバイザーとなる弁護士事務所には、先の化学プラントの件で信頼を得たMilbank&Tweedを指名。
エリックは専門外だったので、同僚の資源開発分野の重鎮、リチャードB Esq.(弁護士の敬称)が担当することになった。
彼はもったいぶった性格で、エリックの様にダジャレを交えた巧妙なやり取りを得意としていなかったが、一点ずつ確実にリスクを押さえながら、粘り強く交渉を助けてくれた。
Co Agentを組む(1)CITIのクリスもオーストラリア人らしく大雑把な性格だが、交渉の手練手管には学ぶところが多かった。
月1回であった弁護士事務所での対面か電話会議でのDocuments Negotiation(契約交渉)のペースが月2、3回となり、大詰に近くなった頃、クリスより電話を受けた。
珍しく声が沈んでいたので、女性問題の悩み相談かと思い、ダウンタウンのバーで待ち合わせると、真面目な表情で、「我が行は、この案件を進められないかもしれない」とポツリ。「業績不振で、アセット積増ができないとのことなんだ」と。