店は午後七時まで。だからみんなで食事をするのはそれから。

ただし、母と祖母が一週間交代で食事の用意をするから、その時にはもう食事の用意はできている。

で、いただきます、を始めると、そういう時にかぎって、店のげん関の「ピンポーン」が鳴る。

母が大きな声で、「はーい」と答えて出て行くと、急ぎのお客さん。

もどってきて、「お客さんだから、あとは食べてて」と、白衣に着がえてまた出て行く。

休まらない。時間切れだからと断らない。

断ればいいと思うのだが、客商売だからしょうがない。見習いのお姉さんたちはまだセットできないし、祖母は老人だから、こういうときは母しか対応できない。

祖母のいない時で、料理が中と半ぱな時は、父が後をつぐ。

さっきまで母がふっていたフライパンをとって、自分流にあおり出し、母が作ろうとしていたものに似たものを完成させる。

とは言っても父は、安城のモーテルでは調理もやっていて、作り置きのルーを熱してとかすだけだけれども、カレーを作ってお客さんに出していたから、慣れたもの。

でも、子どもたちはいつも父の料理を食べたくはなかったし(おいしくないから)、父もいつも料理をしたいわけではなかった(それほど上手にできないから)。

  

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